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あらすじ/概要
実務未経験から情シスに転職して約二ヶ月。
従業員約300名規模、都内に2拠点、地方に4拠点の会社(非IT業種)で上司と2名体制で情シスを回す日々。
ほとんどの企業が使用しているMicrosoftのOfficeソフト。今回、クラウド型のOffice365を取り入れようとの話になるが、上司がライセンス違反になる運用方法の提案を平気でしていて、また不信感が強くなっていくのであった。
こんばんは、ばーふぃんです。
今日は、ほとんどの企業が使用しているであろうMicrosoft Officeソフトについて触れていきたいと思います。
現在、私がいる会社でも同様にOfficeを使用しているのですが、ライセンス違反になりかねない事態になりそうだったので、皆さんが同じ過ちを踏まないよう記事にさせていただきました。
結果的には、その運用方法は却下となり事なきを得ましたが・・・入社して2ヶ月ちょいちょいでライセンス違反に加担するなんて御免です。
ライセンス形態の種類
まず、Microsoft Officeのソフトには、大きく2種類のライセンス形態があります。
ボリュームライセンス
従来からのライセンス形態で、所謂買い切りタイプ(永続ライセンスと言ったりします)です。
ニーズの多いExcel,Word,PowerPointが含まれているものだと、Home and Businessあたりで対応可能で、一本あたり3万~4万円あたりで購入することが出来ます。
購入をするとライセンスキーが送られてきて、インストール時にそのキーを入力することで、ライセンス認証されてOfficeソフトを使用出来るようになります。
クラウド型(Office365)
こちらは、2010年6月よりリリースされたクラウド(オンライン)製品です。
どういうことかというと、ユーザアカウントに認証されたライセンスを割り当てると、そのアカウントでオンラインサービスにログインすることで、Officeソフトをインストールすることが出来るのです。
Office365というと、グループウェアを思い浮かべる方が多いかと思いますが、ソフトをインストールするためだけのものもあります。
Office365 Businessであれば、ExcelやWordやPowerPointあたりが入っていて、月額900円で使用をすることが出来ます。
ライセンス形態の違い
ボリュームライセンスとOffice365の違いは、大きく下記が挙げられます。
- 課金体系
- バージョンアップ
- ライセンスの考え方
課金体系
上でも軽く触れていますが、ボリュームライセンスは買い切りとなり購入時に一時金が発生、反対にOffice365はサブスクリプション(非永続ライセンス)のため、月額課金となります。
非永続ライセンスとは、買い切りではなく契約期間中のみライセンスが有効であるという考え方です。基本的には1年契約となりますが、契約更新を失念するとライセンスが失効してしまうので注意が必要です。
バージョンアップ
ボリュームライセンスの方は、現在使用しているソフトのバージョンのサポートが終了したら、新しいバージョンのものへ移行をする必要があります。
そのため、サポート終了のタイミングでまたライセンスを購入しなければいけないということになります。
更に、再度インストールをし直すという手間も発生します。
一方で、Office365の方は、オンライン製品となっているため、バージョンアップは自動で行われます。しかも優先的に。
そのため、再度ライセンス購入する必要もなく、インストールし直しの手間も発生しなくなります。
最新バージョンで保たれるため、セキュリティも担保しやすいです。
Office365はサブスクリプションのため、月額を払い続ける必要がありますが、上記踏まえてどちらがトータルで安価になるか検討したうえで製品選定をするといいでしょう。
私がいる会社は、クライアント台数も150台を超えているため、インストールの手間を嫌って今回Office365を導入しようという話になりました。
上記図は、ボリュームライセンスとOffice365の簡単なコスト比較です。
条件は、
- ボリュームライセンスは1本35,000円で購入出来るとする
- メインストリームがサポート終了したらすぐに最新バージョンを購入
- ライセンス数は100とする
で算出しています。
上の図の通り、4年目にはOffice365のコストがボリュームライセンスを上回り、5年目で新バージョン購入があり再度ボリュームライセンスが追い越す形となりますが、
実際にはメインストリームが終了した後も延長サポートがあるため、延長サポートギリギリまで使い続けるとなる場合は、Office365がより割高になります。
あとは、新バージョンを買い直した際に発生するインストール作業の手間のコストをどう考えるかによって、どちらが会社にとって最適か判断するといいでしょう。
ライセンスの考え方
さて、今回うちがライセンス違反をしでかしそうになったポイントはここです。
まず、考え方としてボリュームライセンスは端末に対してライセンス、Office365はユーザに対してライセンスという考え方です。
そして、Office365では、1ライセンスにつき5台までOfficeソフトをインストールすることが出来ます。
上司はここに目を付けました。5台までインストール出来るということは、1ライセンス契約するだけで5人分のOfficeソフトを賄えると。
100ユーザでOfficeを使用したければ20ライセンスの費用で済むと。
はい、これライセンス違反です。上述の通り、Office365ではあくまで1ユーザに対して1ライセンスという考え方をしています。
1ユーザが所有している端末であれば、5台までインストール出来るという意味なんです。
5ユーザ5台の端末にインストール出来るという意味では決してありません。
昨今ではスマートフォンやタブレット等、1人が複数のデバイスを所持していることが当たり前になってきているので、1ユーザ5デバイスという考え方をしています。
ユーザアカウントを複数人で使い回し、複数台にソフトをインストールしていく使用方法は全く推奨されていません。
上司は、「別にバレやしない」なんて言っていましたが、実際に億単位の賠償が発生している事例もあります。
責任取れるんですか?
経営層の人達はライセンス違反のことなんて当然知らないので、上司の提案を「それいいじゃん!」なんて絶賛していましたが、賠償の事例を会議で話したら、この案は流れました。まあ当然ですよね。
適切な運用方法例
個人的には、Office365はソフトだけを使用するにしても非常に便利だなと考えています。
バージョンアップに伴う作業の手間が発生しない、というのは情シス担当者からすると非常に有り難いですよね。
また、ボリュームライセンスだとどの端末にソフトがインストールされているか、管理が必要になります(IT資産管理ツールがあれば自動で取得出来るんですが・・・)が、Office365ではユーザ管理になるため、誰にライセンスが割り当たっているのか、更にどの端末にソフトインストールをしたのかも追うことが出来ます。
とはいえ、会社によっては共用で使用するPC端末が存在するところもあるかと思います。そういった端末にOffce365のユーザアカウントを使用してソフトインストールしてしまうと、違うユーザが使用する際に認証を求められると使用出来ないという問題が発生します。そうなると、そのユーザのアカウント情報を他のユーザに教える、といったことが横行して本末転倒になってしまいます。
そのため、個人に紐づく端末にはOffice365、共用で使用する端末にはボリュームライセンス、といった使い分けをするのがベストなのではないかと考えています。
ただ、ボリュームライセンスはMicrosoftが販売終了するとかいう噂(定かではない)もたまに聞いたりしますので、この先どうなることやら。
まとめ
一定以上のOfficeソフトのある企業は、管理のしやすから、今後はOffice365の利用へシフトしていくところが多いのではないかと思います。
Office365のアカウント情報さえ伝えてしまえば、あとはインストール作業を各々に委ねられるという手離れのよさもメリットです(このへんは企業のポリシーによって運用は変わってくるかと思いいますが)。それでもたまにインストール方法が分からないという聞いてくる輩はいますけどね・・・
1ライセンス5デバイスのインストールというのも、マルチデバイスが当たり前の昨今の時代にマッチした形態かと思います。
しかし、1ライセンス5台インストール出来るという意味合いを決して履き違えないようにしてください。あくまでも1ユーザに対して1ライセンスです。
いくらコストを安価に運用出来るからといって、ライセンス違反はいけません。
また、同じアカウントを使い回すということは、誰がログイン処理をしたのかも追うことが出来ず、セキュリティの観点からもよろしくないです。
他にもライセンス違反となる項目は多々あるかと思いますが、ありがちな違反パターンについて書いてみました。
Office365関係のネタは今後も少しずつ触れていこうと思います。