応用情報技術者の試験を受けてみたお話

応用情報技術者試験を受けてみた

概要/あらすじ

実務未経験から情シスに転職。

従業員約300名規模、都内に2拠点、地方に4拠点の会社(非IT業種)で上司と2名体制。

入社して半年を超えた段階で、この会社にはずっといないだろうなということを悟り、情シスでの実務経験や最低限の知識は持っているという証明が必要だなと思い資格が必要だと考える。

昨年の秋にITエンジニアの登竜門と言われる基本情報技術者試験に合格したため、一歩ステップアップして応用情報技術者試験を受けてみた。

こんばんは、ばーふぃんです。

資格って、これが全てではなくて、あくまで実務経験が一番大事だとは思うんだけど、そうは言っても知識の証明にもなるし自己啓発してますアピールにもなるので、なんやかんや転職で有利に働いたりすることもあったりします。

事実、自分は持っている資格について面接で聞かれたこともあり、そこから話が広がるケースも過去にあったりました(これが内定の原因になったかは分かりませんが)。

ということで、自分は情シスという仕事を始めて約一年近くが経過し、前年の秋にITエンジニアの登竜門であると言われている基本情報技術者試験に合格したので、今回は一歩ステップアップした応用情報技術者試験を受けてみました。

試験の位置づけ

基本情報技術者も応用情報技術者試験も、いずれもIPA(情報処理推進機構)が定める国家試験なのですが、それぞれ位置づけがありますので、簡単に触れたいと思います。

IPAの情報技術者試験では、レベル1〜4に区分分けされており、数字が上がるほど難関になっていきます。

レベル2 基本情報技術者(FE)

さて、私が昨秋に取得した基本情報技術者がこれに該当します。

IPAの公式では、

高度 IT 人材となるために必要な基本的知識・技能をもち,実践的な活用能力を身に付けた者

引用元:IPA 独立行政法人 情報処理推進機構:制度の概要:基本情報技術者試験

とされており、前述の通りITエンジニアとしての登竜門という位置づけをされています。

要はITエンジニアとして最低限のスキルと知識は持っていますよ、という証明になる資格です。

学習内容や、試験当日のことについては、以下の投稿で触れているので、これから基本情報技術者試験を受けられる、という方はぜひ参考にしてみてください。

同じレベルの試験として、情報セキュリティマネジメント試験 (SG)というのもあり、こちらはセキュリティに偏った試験内容となっています。

ちなみに、この1つ下のレベル1にはITパスポート試験(IP)というのがありますが、

職業人が共通に備えておくべき情報技術に関する基礎的な知識をもち,情報技術に携 わる業務に就くか,担当業務に対して情報技術を活用していこうとする者

引用元:IPA 独立行政法人 情報処理推進機構:制度の概要:ITパスポート試験

とある通り、ITエンジニアから一歩引いて職業人(社会人)として必要な知識レベルとなっており、かなり合格しやすいものとなっています。

自分は今の会社に入る前の会社で受験させられ合格しましたが、勉強しなくても問題文をよく読めば解けるような問題ばかりでした。

レベル3 応用情報技術者試験(AP)

今回私が受けた試験はこれです。

高度IT人材となるために必要な応用的知識・技能をもち、高度IT人材としての方向性を確立した者

引用元:IPA 独立行政法人 情報処理推進機構:制度の概要:応用情報技術者試験

とある通り、基本情報技術者試験レベルの知識はもちろんのこと、それらをより実務レベルで応用を利かすことができる、ということを証明するための試験となっています。

試験内容については、この後触れていきますが、問題も実務というかモデルケースに沿った内容に対しての考察を求められます。

難易度もそこそこ高く、毎回20%前後となっています。

おそらく、ITエンジニアや情シスで採用活動をしている人事担当者も、履歴書や職務経歴書でこの資格が書かれていると「おっ」となるレベルかと思います(多分)。

ですが冒頭お伝えしました通り、もちろんそれが合否に直結するわけではないです。あくまで一番大事なのは実務経験。

基本情報技術者試験、応用情報技術者試験までは幅広いジャンルから問題が出題されますが、この次のレベル4は高度試験と呼ばれ、ネットワークスペシャリスト、データベーススペシャリスト、ITストラテジスト、プロジェクトマネージャ等、それぞれのジャンルに特化した試験となっており、応用情報技術者試験までを取得した人が、それぞれ得意な分野を確立していくという流れになっています。

試験までの学習期間、学習方法

基本情報技術者試験の時のことを書いた際にも同じことを書きましたが、適切な学習期間は人それぞれです。

何時間やれば絶対に受かる、なんてのはありません。多少運の要素だってあります。

目安として、私は約3ヶ月掛けて勉強しましたが、これがちょうどいいのか、過剰なのか、足りなかったのかは分かりません。

指標として言えるのは、基本情報技術者試験に合格したレベルの知識を持っているということ、約1年弱の情シス実務経験があるということだけです。

さて、学習方法は結果的には基本情報技術者試験の時と大きく変わりませんでした。

ざっくり以下のような感じです。

  1. まずは午前の過去問を1つ解いてみる
  2. 午後の選択問題を絞る
  3. 午後の絞った範囲の過去問を解いてみる
  4. 午後の絞った範囲を参考書で読んでみる
  5. また午後の過去問を解いてみる
  6. 以後、4と5の繰り返し
  7. 試験近くなったらとにかく過去問解く

1.まずは午前の過去問を1つ解いてみる

応用情報技術者試験も、基本情報技術者試験と同様に午前と午後で問題が分かれています。

午前は4択問題です。

これはすぐ終わります。正直、ある程度の実務経験があるか、基本情報技術者試験を合格するレベルの知識があれば、午前は勉強しなくても合格点(80問のうち6割)取れるはずです。

もし取れなくても、何問か必ず出題される問題(クリティカルパスとかは毎年出てるっぽい)があるので、そこを押さえておくことと、自分が得意な分野は確実に取れるようにしておけば対策はそう難しくないはずです。

自分は基礎理論が苦手だったのと組み込みシステムは専門外だったので、その辺はほぼ捨ててましたが、他でカバー出来ました。

2.午後の選択問題を絞る

応用城技術者試験の関門は何と言っても午後の試験でしょう。

まず大きく変わるのは選択の部分です。応用情報技術者試験では、以下のようにジャンル分けされており、必須のセキュリティ以外で4つを選択することになります。

  • セキュリティ(必須)
  • ストラテジ
  • プログラミング
  • システムアーキテクチャ
  • ネットワーク
  • データベース
  • 組み込みシステム
  • 情報システム開発
  • プロジェクトマネジメント
  • ITサービスマネジメント
  • システム監査

基本情報技術者試験との大きな差は、プログラミングやアルゴリズムが必須ではないところにあります。

そのため、応用情報技術者試験は文系資格なんて言われたりもしています。

基本情報技術者試験はプログラミングとアルゴリズムが必須となっているため、ここに苦手意識がある人は応用情報技術者試験よりも難易度が高く感じる、なんてこともあるかもしれません(といってもそれ以外のジャンルは圧倒的に応用情報技術者試験の方が難しいですけど)。

さて、選択するのは4つのため、試験を受ける前からある程度選択するジャンルを絞っておくことをオススメします。

何故かというと、実際の試験で与えられる時間は120分です。

その時間の中でセキュリティ含め5つのジャンルを解かなければいけないということは、ジャンル1つにつき約24分のペースで解かなければいけないことになります。

裏を返せば、1つのジャンルの大問を解くのにそれくらいの時間が掛かってしまうことが想定されるわけです。

過去問の解き始めは慣れないこともあり、1つのジャンルを24分で解くことはなかなか難しいはずです。

しかも、解いた後に答え合わせをして、振り返り復習もしなければいけません。

セキュリティ以外では10のジャンルがありますが、これら全てのジャンルにその時間を費やすことは現実問題厳しいです(1年間みっちりやるとか、学生で時間があるとかなら話は別ですが。

応用情報技術者試験を受ける頃には、ある程度自分が得意なジャンル、好きなジャンルが出てきていてもおかしくないと思うので、そういったジャンルに絞って学習することをオススメします。

でも、選択が4ジャンルだからといって、4ジャンルしか学習しないのはやめた方がいいです。

毎年、必ず何かしらのジャンルで難しい問題が出される、所謂交通事故のようなことも起こり得るので、保険としてプラス1か2くらいのジャンルを解けるようにしておくといいでしょう。

ちなみに、参考までに私は、ストラテジ、ネットワーク、データベース、プロジェクトマネジメントをメインとしてシステムアーキテクチャを保険として学習しましたが、本番ではネットワーク、データベース、プロジェクトマネジメント、システムアーキテクチャを選択しました(ストラテジがぱっと見で難しそうだったので捨てたということです)。

3.午後の絞った範囲の過去問を解いてみる

さて、ジャンルを絞ったら、次はいよいよ実際に過去問を解いてみます。

多くの人はここで一回絶望することでしょう。

一発目から合格点取れるような人がいるなら、その人は天才か、バリバリ実務経験こなしまくっているハイパーSEかのどちらかでしょう。

基本情報技術者試験との大きな違いは、午後に関しては記述式の問題があります。

本文から文章を抜き出せば解ける問題もあれば、実際の経験則や応用力を活かして自分で考えないと記述出来ないような問題もあったりします。

最初は、時間を気にせずまずは最後までやってみましょう。

答え合わせしてみると、単に知識が足りなくて解けない問題、応用力不足で解けない問題、色々出てくると思います。

まずは自分のレベルを判断するという意味でも、とりあえず過去問を解いてみることがいいでしょう。

4.午後の絞った範囲を参考書で読んでみる

午後試験では、前述の通り記述問題が出てきます。

用語を問われるような問題も出てきます。

用語を完璧に覚えられてなくても、4択なら解けたりするものですが、記述になった途端書けなくなってしまうなんてことはよくあることだと思います。

そのため、午前試験で頻出されるような問題の単語はある程度頭に叩き込んでおくこと、そして参考書で太字で書かれているような重要そうな基礎単語は覚えておいた方がいいでしょう。そしてその意味も覚えるようにしましょう。

応用を攻略するには、基礎が出来ていることが必要です。解けなかった部分で、かつ回答を見ても理解出来なかった部分は、そもそも基本が出来ていない部分になるので、参考書を読んでちゃんと補ってあげるようにしましょう。

この段階で、一度対象のジャンルの部分だけ参考書を読んでしまってもいいです。

午後試験は、午前試験の応用でもありますので、参考書を読むのがしんどいという人は、午前の過去問をたくさん解いて言葉とその意味を頭に叩き込む、というのも一つの学習方法としてはいいかもしれませんね。

5.また午後の過去問を解いてみる

午後試験は、慣れの部分と、試験テクニックも非常に重要になってきます。

慣れについては、記述問題は文脈からどの辺に回答のヒントが眠っていそうだな、とかを考える力が必要で、こればっかりはとにかく何度も過去問を解いて養っていくしかありません。

試験テクニックについては、先述の通り、時間が120分と限られた中での戦いとなります。

自分が得意とするジャンルの中から、どれを選択するのかを早い段階で判断する必要があります。

これを選択して解いてみたけど、いざやってみたらめちゃくちゃ難しい出題だったからやっぱり他のを選択しよう、なんてなった日には時すでに遅しです。

問題を解き始める前からジャンルの選択をする必要があります(解き始めてから諦めるにしてもせいぜい最初の1問目あたりが限界)。

選択問題を決めたら、時間配分も考えなければいけません。

単純計算で1ジャンルにつき24分の時間配分となりますが、もちろんきっちり同じでなければいけないことなんてないので、解けそうなところからガンガン解いていってすぐ答えが出なそうなところは飛ばしていき、最後にじっくり考える時間を余らせるくらいのつもりで攻めましょう。

ジャンルの選択も解き始める順番決めも、ぱっと見で決めなければいけません。

ぱっと見て、聞いたこともないような単語が頻発されていたりしているようなら、さっさと見切りをつけてしまってもいいでしょう。

6.以後、4と5の繰り返し

あとは過去問を解いて、苦手意識のある分野は参考書を読んだりして復習をする、この繰り返しです。

7.試験近くなったらとにかく過去問を解く

午後は全く同じ過去問が出題されることはありませんが、傾向は似ていたりします。

セキュリティは、攻撃の種類(XSS、ゼロデイ、フィッシング等)は覚えておいた方がいいです。

ネットワークはDNS関連、Web関連が出やすい印象です。WAFとかは過去問でもちょいちょいあったような。あとロードバランシング。

データベースはSQL文とか、ER図の穴埋めが多いです。トランザクション系が出て来たら事故だと思っていいでしょう。

ストラテジとかプロジェクトマネジメントは割と文章読んでれば解けたりするものが多いです。

ストラテジは会計関連、マーケティング関連が主です。用語はある程度覚えておきましょう。

システムアーキテクチャも文章読んでどうにかなるケース多いです。計算問題結構あるので、しっかり文章読んで答えを導き出しましょう。

試験当日について

最後に試験の臨み方について。

基本情報技術者試験の時と全く同じこと書きます。

午前は、試験開始時間前に会場に到着するのは得策ではありません。むしろ、わざと遅刻してアウトになる試験開始30分後(10時)までに間に合わせることをオススメします。

何故か?

会場では、試験開始10分前くらいになると、問題と回答用紙が配られます。つまり、この時点で参考書を読んだりという悪あがき行為が封じられてしまうのです。

そして試験開始までの時間はただぼーっとしていなければいけません。無駄です。

上でも書いた通り、午前試験はせいぜい1時間〜1時間半もあれば終わります。なので頭の30分ロスったところで正直どうってことないです。

朝早いのって誰でも辛いと思います。しかも大半の人が休日の日曜日。

こういう試験ってつい開始時間の30分前とかに会場に着いてしまいがちですが、敢えて遅刻という選択をするだけで下手すれば1時間近く多く寝ることができます。あるいは悪あがきの勉強に充てることもできます。まあ要は時間を有効に使えるということです。

とはいえ、当日電車遅延とか何が起こるかは分からないので、その辺の管理は自己責任で。

まとめ

ということで、本日合格発表で無事合格を出来たので、この投稿を書きました(不合格なら書いてなかったかもw)。

試験受験直後は、午後がギリ合格点到達したかどうか。。。という自己採点だったのですが、蓋を開けたら約7割。記述のところの部分点を結構もらえたのかな?採点甘い気がするけど。

でも応用情報技術者試験、難しいですね。やっぱり運の要素もあると再認識。

とりあえず履歴書に書ける資格が増えたのは嬉しい、次は高度試験受けようかな。。。頑張ります。