企業の電話回線管理者が最低限知っておくべき電話用語のお話

電話回線の基本用語

概要/あらすじ

実務未経験から情シスに転職。

従業員約300名規模、都内に2拠点、地方に4拠点の会社(非IT業種)で上司と2名体制。

企業における電話回線の管理責任の所在は、会社によってまちまちであるため、専門的なことを話せる担当者がいないというケースが多い。

こんばんは、ばーふぃんです。

中小企業では、全体的に人が足りていないため、会社の電話回線の管理って誰がやるの?っていう議論が発生しているところも少なくないと思います。

私は営業時代に1,000社近くの中小企業を見てきましたが、ただ電話をするというだけの使用用途であれば、実は総務が管理しているケースが大半を占めているというのが実情です(総務が片手間で情シスも兼任しているケースも含んでいます)。

しかし、総務の人の大半は「電話回線の管理は本業ではない」と言う(思っている)ので、企業の中に電話について詳しい人がいない、という状態が発生します。

仮に情シスの人が管理をしている場合でも、電話回線のことは専門外のためあまり知らないという人も意外と多いのでないかと思います。

なので、今回は最低限この用語だけでも押さえておけば、通信キャリアの営業担当やベンダとある程度お話が出来る、という用語を紹介したいと思います。

電話関連の用語について

ch(チャネル)数

チャネル数と読みます。

いきなり何ぞや、と思われるかもしれませんが、同時に通話出来る本数のことを指します。

1chであれば、その事務所内で誰かが通話をしていたら、その間に別の着信が事務所にあった場合、発信者には話中で返されます。

2chになれば、その事務所内では2人が同時通話を出来ます。2人が通話している状態で着信があれば、その着信は発信者に対して話中で返されます。

ch数の考え方

ch数は少な過ぎるとすぐに回線が埋まってしまいますし、多過ぎても電話を取ることが出来なかったりコストが無駄になるため、一般的には事務所の人数に対して3分の1程度のch数が最適と言われています。

アナログ、ISDN

昔ながらのメタル回線と呼ばれるものです。NTTやKDDI等の通信キャリアは後述の光回線(IP電話回線)に移行する方針を打ち出しているので、現在では全国的にもどんどん減ってきている回線種別です。

覚えておきたいのは、1回線あたりアナログは1ch、ISDN64は2ch(ISDN1500で23chというものもありますが、覚えてなくもいいでしょう)ということや、

FAX回線やセコムやアルソック等の警備回線にはアナログ回線を推奨していることくらいでしょうか(光回線でも使用可能とは思いますが、誰も責任を取れないのでやめた方がいいと思います)。

費用は、NTTだと1回線あたりアナログで2,500円/月程度、ISDNで3,780円/月程度のはずです。

代表組

上述の通り、1回線あたりのch数は回線種別によって決まっています。

そのため、事務所規模に合わせてch数を増やしたい、というときにこの代表組という仕組みを使います。

簡単にいうと、回線を組み合わせてch数を拡張したセットを作り、1つの電話番号(親番号)でそのセット使用することが出来るというものです。複数回線を使用するため、裏では複数の電話番号(子番号)が存在しています。

流れとしては、

  1. 親番号03-1111-1111に着信
  2. 03-1111-1111が埋まる
  3. 代表組されている03-2222-2222にスリップ
  4. 03-2222-2222が埋まる
  5. 代表組されている03-3333-3333にスリップ

代表組の仕組み

こうすることで、対外的に知らせる電話番号としては親番号のみで、多chを使用するということを実現することが出来ます。

ちなみに、この子番号でも電話を使うことは出来ます。

PBX(主装置

よく交換機なんて言ったりしますけど、社内に置いてあるでっかい箱のような機械です。

回線を収容し、着信した電話をオフィスのビジネスフォン達に分配する役割を担っております。

このPBXというのはなかなか賢い代物で、この後説明するダイヤルインを使用することで着信先の電話番号によって鳴る電話機を自動的に振り分けたりすることが出来てしまいます。

今ではクラウドPBXというもの登場していて、社内にPBXを設置せずとも電話を使用することも可能だったりします。

PBXはサイズが大きく結構な設置スペースを要するので、クラウドPBXは省スペースを図ることが出来ますが、電話機の台数が相当数ないとコストメリットが見合わなかったりします(私が過去いた会社では200台以上はないとメリットがないと言われていました)。

ダイヤルイン追加番号

略して「追加番号」って呼んでしまうケースもあります。

全体のch数、回線数は増やさなくてもいいのだけど、部署の直通番号等のために電話番号だけは増やして、この番号に着信したら特定の電話機だけ鳴らす、ということをしたいときに使います。

実回線が存在していないけど電話番号は存在しているということです。

そのため、実回線が存在する電話番号を親番号として、そこに追加番号が子番号としてぶら下げることになります。

ダイヤルインの仕組み

上述の通り、電話回線を追加すると、1本2,500円とか3,780円の月額が発生しますが、番号追加だけなら1番号800円程度の月額で運用可能出来ます。

よく、電話回線数=電話番号数と誤解している人がいますが、そうでないのはこの追加番号という仕組みがあるためです。

IP電話

一口にIP電話と言ってしまうと色んな解釈がありますが、ここではいわゆるNTTのひかり電話のような光回線を使用した電話回線のことと捉えてもらえれば結構です。

上述でアナログやISDNのようなメタル回線はどんどん減ってきているとお伝えしましたが、今ではこのタイプの電話回線が主流になってきています。

VoIP(ボイップと読む)というプロトコルを使用して、IPネットワーク上で音声通話をすることを実現しています。

よくあるIP電話の構成

メリットは、メタル回線と違い、ch数を増やすために複数回線の契約をする必要がないため、コストメリットが出やすい点です。代表組という概念がないので、いらない子番号を抱えることも不要です。

もちろん、ダイヤルイン追加番号も契約可能です。

IP電話のch数の考え方

メタル回線からIP電話に移行する際、上記で説明しました代表組での回線数とch数が多ければ多いほど、コストメリットが出やすくなります。

昔は050のIP電話は通話品質に懸念を持たれていたりしましたが、今のIP回線を使用した電話サービスは0-ABJ番号(03番号等)を使用出来るものが多く、それすなわり総務省に認可された品質であることの証明なので、通話品質に関しても心配する必要なないでしょう。

まとめ

ざっくりとですが、必要最低限の電話に関する用語を説明してきました。

この辺りを理解しておけば、ある程度通信キャリアの担当営業やベンダとお話しをすることはできるようになると思います。

あとはビル設備のお話しが出来れば間違いないと思うので、別の機会にでも説明させていただければと思います。今回はどちらかというと電話のサービス側のお話だったので。

冒頭お話ししました通り、中小企業だと意外と電話に精通した人がいなかったりするので、この辺りの知識があると意外と重宝されるかもしれませんので、ご参考までに。